知り合って間もない人とペアプロの話になると、「ペアプロって結構疲れるんですよね。」「そうっすね。ペアプロは結構疲れるっすよね。」ってな感じで会話が終わってしまう事が多いが、本当はもっと語る事がたくさんある。そんな感じの本。
『Pair Programming Illuminated』
250頁くらいの洋書で、ペアプロだけでそんなに書くことあるのかと思いきや、意外と面白い(2002年6月の出版で、ちょっと古いが)。
例えば、ペアプロに関するよくある誤解として以下のような事項が挙げられていて、それぞれ詳しく解説されている。
- Myth 1: 1人でできる仕事のコストを倍にしてるだけ。
- Myth 2: ソロ作業が禁止されている。
- Myth 3: 良いパートナーに当たった時にしか上手く行かない。
- Myth 4: 教育効果はあるが、ある程度習熟したらもう意味はない。
- Myth 5: 良い仕事の手柄がパートナーと半分ずつになってしまう。
- Myth 6: コンパイラが構文エラーを見つけてくれるのでナビは不要。
- Myth 7: ペアプロだとフロー状態に入れないから仕事にならない。
ペアプロ者はこうした事柄について、「そうじゃないんだよね」と自分の中でなんとなく納得してるだけではなく、例えばペアプロを導入しようとしてい>るときや、誰かがペアプロを止めさせようとし始めたときなどに、他者をも説得できるように言葉や論理を用意しておく必要があるが、そのためにも先人達の意見が参考になる。
またちょっと細かい話のようだけど、以下のようなペアの組み合わせについて、それぞれに章を設けてページ数を割いて、上手く行っている場合の効能と、起こりがちな問題が記述されている。
- エキスパート/エキスパート
- エキスパート/平均的プログラマ
- エキスパート/初心者
- 初心者/初心者
- 外交的な人/外交的な人
- 外交的な人/内向的な人
- 内向的な人/内向的な人
その他、ローテーションの仕方とか仕事場のレイアウトとか導入の仕方とか、いろんな知恵が書かれてる。「できるペアプロ者の7つの習慣(意訳)」もシンプルでなかなか良い。
豆知識:三人組でプログラムを書く事を Triplet Programming と言うらしい。1人がキーボード、1人がホワイトボード、もう1人が顧客役に徹するパターンについて、Coplien が語った事があるとの事。