2011年6月12日日曜日

このギャラ、損か得か?

開発案件のギャラを比べるとき、単純にどっちが得でどっちが損か比較するのは意外と難しかったりする。

難しい理由は、案件の内容だとか契約条件だとかいろいろあるが、今日は、契約条件に含まれる清算方式の違いを解消して比較する方法を考えてみる。

例1)
見込み稼働時間数が 月240h の半炎上プロジェクトで、140h〜180h上下割60万の条件がついたとする。これと等価な単金固定プロジェクトのギャラはいくらか?
答え:
60万 + 60万 ÷ 180h ×(240h−180h) = 80万
言い換えると、これまで 140h〜180h上下割60万で仕事を受けてきた技術者が、見込み月240h の単金固定案件を受けるとすると、80万もらわないと割に合わないということになる。


例2)
単金固定72万の案件の引き合いがあって、プロジェクト内容を聴いたらとっくにデスマ化していて稼働300hに達している。これを140h〜200h上下割に換算するといくらになるか。
答え:
x + x ÷ 200h ×(300h−200h) = 72万
これを解いて、x = 48万。
このご時世、72万なら悪くないと思うかもしれないが、稼働時間によっては、上下割換算で40万台のしょっぱい案件になり得るとわかる。(ちなみに、この例を上限180hで換算すると43万2千円)


比較用に標準的な条件を設定して、複数案件を比較するという手もある。例えば「162h の時給換算」とか。(行政機関の年間営業日243日を採用し、これを12ヶ月で割ると、一月あたりの勤務日数は20.25日となり、これに8時間を書けると162時間となる。)

例3)
他の条件(通勤、やりがい等)が同じとすると、得なのはどれか。
① 60万単金固定 (想定220h)
② 57万(140-200) (想定220h)
③ 55万(140-180) (想定220h)
④ 54万(140-180) (想定200h)
答え:
① 60万 ÷ 220h × 162h =44.1818万

② 57万 × (1 + 20h/200h)=62.7万
  62.7万 ÷ 220h × 162h =46.17万

③ 55万 × (1 + 40h/180h)=67.2222万
  67.2222万 ÷ 220h × 162h =49.5万

④ 54万 × (1 + 20h/180h)=60万
  60万 ÷ 200h × 162h =48.6万

得な順に、③→④→②→① となる。

①、②、③は清算方式の違いによって、見掛け上の単金と受け取り額の順序が逆転し、従って損得も逆転する。
①と④では、受け取り額が同じだけど、稼働時間の違いにより、損得が逆転する。

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こんな感じで、案件を比較できる。

(理想的には、8時間働いた後に追加で働く1時間と、12時間働いた後に追加で働く1時間では、同じ1時間でも価値が違うので、これを考慮する変換方式にする必要があるが、かなり複雑になる。)

換算方式を工夫すれば、他の要素も取り込んで標準化して比較できる。特に、通勤にかかる時間は、実は交通費以上に結構大きく影響する。往復30分と3時間では、実質的に失う時間が大きく違うので、比較するには一工夫必要になる。

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