ワークフローについて考えていて、たまたま wikipedia のエントリ「ワークフロー」にたどり着いたら、関連項目から「ワークフローシステム」にリンクが張ってある。閲覧してみたら、どうもおかしい。最新版は2008/11/22に最後に更新されたもので、英語版に無い日本語版独自のエントリらしい。
まず段落「主な機能」のところに列挙されている「ワークフローシステムが有する主な機能」からして、すでに怪しさ満載。既存の「ワークフローシステム」製品群のうち、どの程度に共通して言える事実なのかわからない。客観的事実ではなく、特定の誰かの特定の製品体験にのみ基づいた思い込みだけが並べられている。
またそれ以前に、粒度や観点の異なる項目が並置されていて、ぜんぜん整理されていない。「主な機能」として「決裁ルート、決裁ルート自動生成、決裁種別、フォーマット、経費申請、経費連携、勤怠申請、ファイル添付」と並べるなんて、これでは「主な果物」というお題に対して「バナナ、和歌山産みかん、焼きりんご、南国の果物、干しブドウ、以上終了」と答えるのと同じくらいナンセンス。
更に、この段落「主な機能」の下に、段落「決裁ルート操作機能」と段落「ワークフロー一覧取得機能」が続く(2007/09/06 に 220.145.250.67が編集)。「主な機能」に含まれなかった機能の詳述がいきなり始まってビックリするが、内容を見ると、いかにもある特定の製品にだけしか成立しない固有仕様が並べられている気配が濃厚。誰が何を根拠に書いているのか知らないが、箇条書きで項目を列挙するときの異様なクセが「主な機能」の記述と似ているところを見ると、IPアドレスは違うが同じ記述者かもしれない(断言できないが)。
最後に「ワークフローシステムのアーキテクチャ」の段落が続くが、これもまた変。「ワークフローアプリケーション」と「ワークフローエンジン」という形で、アプリとミドルウェアを分離するアーキテクチャは良いが、何故それを「一般的」と言い切るのか。実際にはワークフローエンジン用のミドルウェア製品を用いず、自前でフローを制御する仕組みをアプリケーション自体に持たせている製品がたくさんあるのが現実。
Wikipediaについては、特に国際問題に関連するエントリで編集合戦が起こったりしてトラブルが多いのは聞いていたが、技術系のエントリでもこの有様とは残念だ。自社製品の仕様やコンセプトを、他者を押しのけて「常識」の地位に格上げするために、Wikipediaを利用する事も多いのだろうと思う。あるいは1開発者が自分の主張を社内やチーム内で通す際、説得力を水増しするために使う事もあるかもしれない。
ところで、このエントリの一番最初の投稿(2007/04/12)を見ると、上述の「主な機能」の下に「代表的な製品」として、ディサークル社の「POWER EGG」というのが一つだけ載っている。誰が投稿したのか見ると 211.5.139.0 とあるが、これを Whois で調べると「ディサークル 株式会社」と出てくる。
というわけで、まあ、やはりディサークル社の方が宣伝のためにか情報操作のためにか、自分都合で立ち上げたエントリなのだろう。まあ気持ちはわからないでも無いが、余りにも偏向した内容を全然未整理の状態で載せるのは、いかがなものだろうと思う。
これまでWikipediaは読むだけだったが、ルールを覚えたら編集なんかにも参加してみようかと思う。余りにも酷い記事、特にIT技術に関する記事は、同じ業界で暮らす技術者としてちょっと不愉快。「ワークフローシステム」はエントリごと削除してしまうのが良いだろうが、他の項目については客観的な根拠や出典を要求するような形で少しずつ参加していきたい。
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