2009年8月6日木曜日

まとめ読み:Agile関連記事 6

変化への抵抗に打ち勝つ 2008年8月28日

変化に抵抗する理由について「認識に関するもの/感情に関するもの/行動に関するもの」のとする3タイプの分類が提示されている。また変化への抵抗の形式として、「積極的/消極的」「顕在的/潜在的」「個人/グループ」「攻撃的/臆病」の4つの分類軸が挙げられている。

記事の中で、それぞれの抵抗の理由と形式の組み合わせについて、解決策が提示されているわけではないが、そこそこリーズナブルな解法のパターンが提案されているのはなかなか良い。
問題をパターン化して捉えるのは、やはり最適な手順で解に到達するための基本なのだろう。余談だが学校教育における数学の学習のエッセンスというのは、公式や定理ではなくて、つまりこういう事なのだと思う。

後半で、組織の変革の手法として「The Six Change Approaches」と言うのが紹介されている。Kotterさんと Schlesinger さんが1979年に提案したアイデアで、変化への抵抗に対処するための6つの方法が提案されている。また抵抗の理由としては上述の3分類と若干異なる「Parochial self-interest/Misunderstanding/Low tolerance to change/Different assessments of the situation」が提案されているが、個人的にはこちらの方がより説得力を感じる。

今後は、上記のような抵抗のパターンのそれぞれについて、”The Six Change Approaches”をより詳細に具体的した解法が形式知として蓄積される事が望まれるが、この記事ではまだまだそういう気配はない。

ちなみにこの記事もスクラムベース。なんかやっぱり流行ってるのかな。

「技術的負債」に対する新しい見方 2008年9月19日

プロジェクトに途中参画したり誰かのコードを引き継いだりしたとき、プロジェクトのオーナやらマネージャやらにリファクタリングの必要性を説明する事が多いが、「現状、利子の返済だけで首が回って無い状態だから、負債を整理して財務を健全化しないとダメなわけです」なんて例え話で説明すると、わりとすんなり話が通じる事がある。

というわけで、プロジェクトのリソースと成果物を、会計と金融になぞらえる捉え方は昔からよくあって割と説得力があったりするが、「技術的負債」について調べてみると、もともとは Ward Cunningham による1992年のメタファーだとわかる(wikiはここ)。この割と歴史のあるメタファーにまつわる最新の言説を集めて紹介しているのが記事。

本文では負債の減少より資産の増加を重視したアプローチが、最近のアイデアに見られる傾向だとされているが、Alistair Cockburn が2001年に「Agile Software Development」で提示した secondary goal の考えと近いものがある。こちらは、開発を繰り返し連続するゲームと考え、個別のゲームの勝敗(primary goal)と同時に、次のゲームに有利になるような要素をためていく事も重要だとする考え方。

c2 の wiki で、 Debt で検索してみると、いくつか出てきて、これまでにどんな議論があったのかざっくり分かる。ただ、やはり現状では、本物の経済における金銭を計量単位とした定量的アプローチのような手法が確立しておらず、まだまだ感覚的なメタファの域を出ない模様。

今後、PMBOK的 な定量的管理の思想が普及したら、いずれ手法的に洗練される可能性があるかもなんて思わないでもないが。

0 件のコメント:

コメントを投稿