◆ Domain Driven Design Quickly 日本語版
Eric Evans の「Domain Driven Design」という、ドメインモデルに重心をおいた開発を薦める良書があって、かの Martin Fowler も一目置いているのだけど、何しろかなりのボリュームがあるし、本自体の物理的重量も相当なものなので、ちょっと読みづらかったりする。で、これを読みやすく要約した小冊子と、その日本語訳を紹介する記事がこれ。ここで紹介されている日本語訳と、「Domain-Driven Designのエッセンス」を併読すれば、もとの「Domain Driven Design」をわざわざ読む労力が省けるかもしれない(設計チームのリーダクラスになると、原書を読んでおいたほうがいいだろうが)。
ちなみに、ドメインモデルについての先駆的な仕事としては、まず Martin Fowler のアナリシスパターンがある。こちらはドメインモデリングの中で繰り返し現れるドメインのパターンをまとめたものだけど、「Domain Driven Design」では、モデリングの結果として見出されるパターンより、むしろモデリング行為そのものに含まれる考え方やプラクティスを重点的に記述している。で、「Domain Driven Design」側からの指摘としては、分析モデルと設計モデルの乖離をいかに防ぐかという観点から、モデル駆動設計が薦められている。
それと、再び Marting Fowler だけど、超有名な 最高の良書、「Patterns of Enterprise Application Architecture」、いわゆる PoEAA のなかで紹介されている「Domain Model パターン」も、先駆的業績の一つといえる(ちなみに Domain Modelパターンの解説のなかで、執筆中の著作として「Domain Driven Design」が紹介されている)。PoEAA の中では、たった一個のパターンの短い解説に過ぎないわけだけど、これを読んで「やっぱりドメインモデルしかないな。ドメインモデリングこそ最高だぜ!」なんて、むやみにモチベーションが上がった人も多いのではないだろうか。いや、俺だけかもしれんが・・・
更に、また更に遡ると、アナリシスパターンの源流には David C. Hay の「Data Model Patterns」 というのがある。これはE-Rモデルのパターン集であって、振る舞いがない分オブジェクト指向とは若干異なるが、静的モデルに関してはアナリシスパターンとかなり共通しているモデルもある。アナパタや PoEAA ほどには読まれていない気がするが、これも凄い良書なので、オブジェクト指向設計者にもお勧め。あとオブジェクト指向者でなくとも、情報処理技術者のデータベーススペシャリストを狙ってる人なんかにも、ものすごく役に立つと思う。
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